『はじめての』文芸部

第一期部員募集
結果発表
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『はじめての』文芸部
第一期部員は下記4名に決定しました。
それぞれのエントリー作品は下記の通りです。
『はじめての』文芸部での活動に関する意気込みコメントもいただきました。

文音こずむ 『このろくでもない奴しかいない世界で』
〈コメント〉
入部届けを受け取った時、初めて小説を読んだ時の高揚感を鮮明に思い出しました。
その高揚感に憧れて、筆を執り続けてきました。人生を鮮やかに彩り、つらく苦しい時期を乗り越えられる、そんな光を作りたいと思っています。
部員だからこそ、作家だからこそできることを大切に、皆様にエンタメをお届けしていきます。楽しみにしててください!
八川羚 『リスタート』
〈コメント〉
第一期生に選んでいただけたこと、とても光栄で嬉しい限りです。
幼い頃に抱いた作家という夢を私に思い出させてくれたのは、YOASOBIさんの音楽でした。そのおかげで今こうして、夢に向けて少しずつ前に進めています。
私の目指すところは、誰かの背中をちょっとだけ支えてくれるような物語の書き手です。一人でも多くの背中に届くよう、部員としても作家のたまごとしても、励んでいきたいと思います。
葉月成瀬 『幸せの形』
〈コメント〉
「はじめての」文芸部に受かったと聞いたときは、心臓が止まるかと思いました。
それくらい驚き、また嬉しくも思いました。
事情により私は「研修生」という形で参加させていただきますが、文芸部の一員であることに変わりはないので、頑張っていきたいです。
そして、読み終わった後に「おもしろかった」と感じていただけるような物語を書きたいです。
よろしくお願いします!
魔猫よあ 『センパイを殺したいので女装する』
〈コメント〉
数ある作品の中から私の作品を選んでもらえて、とてもとても嬉しかったです。
私は「最高の隠れ家」としてのエンタメに何度も人生を助けられてきており、自身も誰かの「最高の隠れ家」を生み出せる作家を目指したいと思っています。
明日を照らす光にはなれずとも、辛い今を幻想的で魅惑的な闇で包んでいくような作品をお届けしたいです。まだまだ未熟者ですが、どうぞよろしくお願いします。

部員たちのこれからの執筆活動、
作品にぜひご期待ください。

また上記4作品を含め最終選考に残った計8作品について、
『はじめての』文芸部スタッフより選評を送らせていただきます。
改めて、エントリーいただいた全ての皆さまに感謝を申し上げます。
なお『はじめての』文芸部は今後、第二期、第三期と部員募集も継続しておこなっていく予定です。
今回はご一緒することが叶わなかった皆さまも、ぜひ執筆を続けていただき、
またの機会に出会えることを楽しみにしています。

文音こずむ
『このろくでもない奴しかいない世界で』
  • 設定を思いついたことで満足してしまっている応募者も多い中、それをきちんとエンターテインメントに仕立てようとする姿勢に強い好感を持ちました。キャラクターの行動にも一貫性があり、完成度の高い作品です。ただ、タイトルにもある「ろくでもない」というキーワードにこだわりすぎないように注意して下さい。登場人物たちに役を与えず、彼らが自ら物語を引っ張るような作品に仕立ててほしいです。
    篠原一朗水鈴社代表取締役
  • 一回だけ殺人が許される世界という設定に惹かれました。実は互いに因縁がある暗殺者二人は、キャラクターを立てて、依頼者のパターンを変えていけば、バディものとしてシリーズにもなりそうだと思います。詳細なプロットでしたが、プロットを書き込み過ぎると実際の小説自体を膨らませにくくなる場合があるので、抑え気味の方が書きやすいのではと思いました。
    吉田尚子水鈴社編集顧問
  • まず設定にドキドキさせられ、徐々に明らかになる登場人物の過去やパーソナリティにハラハラ、ワクワクさせられました。刺激的な展開の連続で、読者を楽しませようとする意志も感じられます。
    屋代陽平ソニー・ミュージックエンタテインメント
八川羚
『リスタート』
  • 超能力、神の末裔といったオカルト的なキーワードをちりばめつつ、興ざめさせることなく読者を牽引するプロットに感心しました。根底にある、自己犠牲や人間の孤独という普遍的なテーマがしっかりと描けているからではないかと思います。せっかく大きく素敵な風呂敷を広げたのだから、それを小さく畳もうとせずカタルシスのあるラストに繋げられたら、とても面白い小説になると思います。
    篠原一朗水鈴社代表取締役
  • 先がどうなるのだろうと期待させるプロットで、こういうプロットを書くのはどんな人だろうと興味を持ちました。本文の冒頭も鮮やかで、ストーカーの手紙の文字の描写なども類型的でなく冴えを感じました。かなり複雑なプロットなので、要素を少し整理して最後まで書き切ることを目指すと良いと思います。
    吉田尚子水鈴社編集顧問
  • 悠一のキャラクターが魅力的で、予想を裏切る展開もあり、構成力の高さを感じました。あらすじを読んでから冒頭を読み直すと、同じセリフでも全く違った印象になるのは、高い文章力の為せる技だと思います。
    屋代陽平ソニー・ミュージックエンタテインメント
葉月成瀬
『幸せの形』
  • 森絵都さんの『カラフル』に代表される、天使が下界で活躍する物語。設定はすごく新しいものではないけれど、直線的な物語にならず、良く練られています。ファンタジーの中に、思春期特有の瑞々しさとひりひりした感情が上手に組み込まれているところに大きな魅力と可能性を感じました。これからも、背伸びをせず、等身大の葉月さんにしか描けない作品を生み出し続けて下さい。
    篠原一朗水鈴社代表取締役
  • すでにいろいろな作品で描かれている天使ものの中で、地獄に落ちても修行をすれば天使になれるとか、細かいポイント制の設定などが新しく面白かったです。結局、自分が生きていた時の問題と死の原因に向き合うことになる流れ、先輩天使の死の謎にふれ、生きることを肯定的に捉えるラストへの持っていき方も感心しました。
    吉田尚子水鈴社編集顧問
  • 楽しんで書いてらっしゃるのが、世界観の設定やセリフのやりとりの端々に感じられました。それゆえに登場人物が生き生きしていて、作品の魅力になっています。これからどんな作品を書いていかれるのか楽しみです。
    屋代陽平ソニー・ミュージックエンタテインメント
魔猫よあ
『センパイを殺したいので女装する』
  • 選考会中、スタッフ間で議論が一番盛り上がった作品です。元名家の令嬢である高校生が、家の借金を帳消しにするために泣く子も黙る反社組織に嫁入りを求められ、それを救いたい主人公がとある奇策を思いつき……という一見荒唐無稽な話が、独特のユーモアと説得力のある文体で描かれていて、飽きさせませんでした。多くの読者を獲得する作品になるポテンシャルを感じています。
    篠原一朗水鈴社代表取締役
  • プロットの面白さが際立っていて、どんどん引き込まれました。本文の冒頭、図書室の様子と人物の性格を読者に伝える描写力と話の出し入れのうまさで、リーダビリティの高い文章が書ける人だと思いました。各キャラクターも一ひねりがあって魅力的でした。幅広いジャンルで書いていけると思うので、学園物以外もぜひ読んでみたいです。
    吉田尚子水鈴社編集顧問
  • インパクトのあるタイトルに負けない展開。行動原理は少し変わっているけど本人たちは大真面目で、その良い違和感がこの作品のエンタメ性だと感じます。あらすじだけでも面白いのですが、冒頭以降このお話がどう語られていくのか、期待せずにはいられません。
    屋代陽平ソニー・ミュージックエンタテインメント
大楠庵
『その声の感触は』
  • 自分の相棒である楽器が主人公に語りかける、『寄生獣』を彷彿とさせる不思議な面白さのある物語。楽器と登場人物の三角関係とその変化が、魅力的に描かれていました。著者自身の音楽や楽器への偏愛を、物語にうまく昇華させることに成功していたように思います。一方で、この方が他のモチーフを選ばれたらどんな作品が生まれるのか、とても気になっています。
    篠原一朗水鈴社代表取締役
  • プロットの段階で、すでに感情の動きや心理についてよく考察されていました。主人公の成長、変化を描こうとしていることにもとても好感を持ちました。「誰よ、その女」というヨシツネの一言が、印象的で素晴らしいキラーワード。やられました。書ける人だと思いますので、どんどんアイディアの幅を広げて執筆していってください。楽しみにしてます。
    吉田尚子水鈴社編集顧問
  • 心情描写のリアリティ、説得力に、著者の観察眼の鋭さ、洞察力の高さを感じます。ネーミングやセリフなどもひとつひとつ気が利いていて、丁寧でスキがないので、読んでいる間ずっと楽しい、そういう読書体験を提供できる作品だと思います。
    屋代陽平ソニー・ミュージックエンタテインメント
湖ノ上茶屋
『リトルホテルへようこそ』
  • 夢の中に出てくるホテルを舞台に子どもたちの冒険を描く、穏やかでユーモアもあるファンタジー、かと思いきや、突然不穏な雰囲気を醸し出す、独特の魅力のある物語です。安定したリズムの中で、見方によって違った印象を描けるのは、著者の大きな武器だと思います。ただ、この先が気になるところであらすじが終わってしまっていたのは、勿体ないようにも感じています。
    篠原一朗水鈴社代表取締役
  • 一番印象に残ったプロットでした。コミカルでいて、怖さもあり、どこか夢の世界のような奇妙さも同居している坂田靖子のマンガを思い出しました。不思議な味わいの話で、これから子供たちがどんなことに巻き込まれていくのか、興味をかき立てられました。他にどんな作品を書いていくのか楽しみにしています。
    吉田尚子水鈴社編集顧問
  • ファンタジックな設定の中に、ピリッとする毒がひと匙。読者それぞれの心に何かを残す作品だと思います。どのようにこの世界を構築していったのか、そのプロセスに強い興味が湧きました。
    屋代陽平ソニー・ミュージックエンタテインメント
三月三日
『ChiRBA』
  • AI母という現代的なモチーフを通して母娘の愛情や人間関係の機微が描かれ、SFとしての世界観がうまく構築されていました。映画化にも向いていそうな作品です。AIの二人称という難しい文体に挑戦した心意気を買いつつ、この作品にとってそれがベストなのかを確信できずにいます。書きたいことが明確にある方だと思うので、ぜひ、今後も執筆を継続して頂けたらと願っています。
    篠原一朗水鈴社代表取締役
  • AIを扱ったチャレンジングな作品でした。調べたことを自分の中で消化し、無理なく作品に反映しているところが評価できると思いました。今後小説を執筆していく中で、取材が必要になる場面が出てくると思いますが、そんなとき役立つ力だと思います。珍しい二人称の作品ですが、同じ小説を別の人称で書き直すのも勉強になるので、試してみてください。
    吉田尚子水鈴社編集顧問
  • トレンド感のあるテーマが、リアリティと近未来感の良いバランスの中で物語に落とし込まれています。こんな未来が来たら、と想像しながら読み進め、登場人物(?)の行動の是非を自らの倫理観に問う。SFの醍醐味満載です。
    屋代陽平ソニー・ミュージックエンタテインメント
夜光カイト
『受容体の怪物』
  • 著者の実直な人柄が垣間見えるような真摯な作品で、文芸への敬意を持たれているのも伝わってきました。ただ、エンターテインメントとしての作品を完成させるのであれば、どうやったら読者をより楽しませたり驚かせたりすることができるか、ということを更に意識して頂くと良いかもしれません。地力のある方だと思うので、作中で様々な冒険をしながら書き続けて頂きたいです。
    篠原一朗水鈴社代表取締役
  • 発想の面白さがあり、その発想から、SFに根拠を与えるための資料調査、肉付けをしていける人だと思いました。文章も書き慣れていると感心しました。重めの内容なので、冒頭は抽象的な議論ではなく、主人公が今どこでどんな状況なのかというような情景を早めに読者に見せると入っていきやすいかもしれません。志を胸に書き続けてください。
    吉田尚子水鈴社編集顧問
  • 突飛な設定ですが、それに起因する喜怒哀楽が分かりやすく、自然と受け入れられました。文体に滲む熱量の高さも魅力の一つ。一度引き込んだ読者を掴んで離さないパワーのある作品でした。
    屋代陽平ソニー・ミュージックエンタテインメント

本プログラム主催者よりコメント

水鈴社代表取締役 
篠原一朗

まずは沢山の熱いご応募をありがとうございました! 作品としての完成度だけでなく、ポテンシャルを大切に、選考に当たらせて頂きました。4人の部員の皆さんそれぞれが可能性に満ちています。作品が本になるまでの長く険しい道程を、切磋琢磨しながら乗り越えて頂きたいと思っています。ご期待下さい。

ソニー・ミュージックエンタテインメント 
屋代陽平

634件から選ばれた4名の一期生部員。それぞれが夢を掴まんともがくこの部活動自体が、誰も読んだことのない、誰も結末を知らない物語です。ここから生まれるストーリーがたくさんの人の心を動かすエンタテインメントになる未来に、心が高鳴るばかりです。